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大阪高等裁判所 昭和48年(ネ)1215号 判決 1975年9月26日

控訴人(一審被告) 京都府 ほか一名

被控訴人(一審原告) 森正次 ほか一名

主文

原判決のうち控訴人京都府の敗訴部分を取消す。

被控訴人らの控訴人京都府に対する請求を棄却する。

控訴人太田道治の控訴を棄却する。

訴訟費用は第一、二審を通じて二分し、その一を被控訴人らの、その余を控訴人太田の各負担とする。

事実

控訴人京都府は、主文第一、二項と同旨及び訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とするとの判決を求め、控訴人太田は、「原判決のうち控訴人太田の敗訴部分を取消す。被控訴人らの控訴人太田に対する請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは、控訴人らの各控訴を棄却する、控訴費用は控訴人らの負担とするとの判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は、次に付加するほかは、原判決事実摘示と同一(但し四枚目表末行「訴外人の」の次に「父母で」を挿入する。)であるから、これを引用する。

一  当審における当事者の主張

(一)  控訴人京都府

道路管理の瑕疵の存在しないことについて。

そもそも道路は、交通上安全状態に維持保守されていなければならないことはいうまでもないが、その安全性については、絶対的完璧な安全性をいうのではなく、道路の設置者、維持管理者の財政面、行政上の人的物的設備面、またさらに技術面からの制約を考慮に入れて考えるべきであつて、それは普通の注意力をそなえた通行者が通常の注意をして通行するのに事欠かない程度の状態に維持し保守すれば足るものとすべきであるから、道路の安全性は通行者が通常の注意義務をつくすことを期待しそのことを前提とすれば十分であつて、不注意な、あるいは無謀な通行者の通行の安全までも絶対に確保する程度までの高度の安全性の保持を道路の管理に要求されるいわれはないのである。従つて、

(1)  控訴人京都府が従前コンクリート舗装であつた本件現場の道路をゴム入密粒度アスフアルト舗装としてきたことが管理の瑕疵に当らないことは既述(原判決一一頁五行目以下)のとおりであり、この点に関する被控訴人らの主張は、道路舗装工法に関する科学的知識の不足を示すものに外ならない。

(2)  また、本件現場の道路に車道と区別し、高低差をつけ、あるいはガードレールを取付ける等した歩道を設けるべきであつたのに、これを設置してなかつたことが管理の瑕疵に当るとの被控訴人らの主張も、道路の安全状態にとつての理想を求めるものであつて、ないよりあつた方が望ましいことはいうまでもないが、本件現場の道路には、その構造のどこにも欠陥はなかつたのであり、別に歩道が設けられていないが故に道路として通常の安全性を欠いているという状況ではないから、管理の瑕疵があるとはいえない。

(3)  更に当日本件道路が積雪の凍結した状態であつたことが管理の瑕疵に当らないことは、次のとおりである。

(イ)(a)道路の構造上必要な構造部分に欠陥を生じたのにこれが除去修復されていないとか、(b)道路上及び道路に影響を及ぼす範囲内に現在し通行する人車の側で通常回避又は除去しえない交通上の危険が予防又は除去せられていない等の状態にあるときは道路の管理に瑕疵があるとせられるべきである。

(ロ) 右(a)に当る管理の瑕疵が本件において存在しないことは既述のとおりであるが、本件の積雪による路面の凍結状態は右(b)にも当らない。

(ハ) 言うまでもなく道路の安全状態は、道路構造に何らの欠陥がなくとも諸種の原因によつて影響を受ける。雨、風、雪などの気象情況もそれである。風は交通上路面を滑りやすくする異物、たとえば木の葉、紙片、塵埃などを路上にもたらすであろう。雨は路面を濡らしていわゆる水膜現象(ハイドロプレーン)によりスリツプを起させたり、豪雨となれば土砂崩れや落石による危険を生ぜしめることもあろう。雪もまた小雪はすぐ融ければ小雨と同様に路面を滑りやすくし、吹雪は視界を妨げるし、積雪は交通を困難にしたり杜絶させるであろうし、踏みつけられた積雪面や、積雪が寒気で凍結すれば路面を滑りやすくするであろう。

(ニ) ところが広範囲で長距離にわたる道路について、それらの気象状況に起因して現出する道路状況の時々刻々の変化に、即応した管理を全うすることは技術的にできないのである。たゞ前項例示のうち落石、土砂崩れの如きで、道路設置ヶ所の地理的、地質的状況から予想しうべきものであれば、その防除が可能であるかぎり道路管理上予め防除の措置がとられるべきであり、それのなされていない状態は前掲(b)の管理の瑕疵に当るというべきである。しかしかような場合を除いては、雨、風、雪などの気象状況が道路状況に与える変化に即応して、危険の除去措置を道路設置者に期待することは不可能であつて、これらの危険防止は道路状況の変化を眼前に認め道路上の危険に対処しうる通行者自身の注意力に依存すべきものとするほかはなく、かかる場合即時これらの危険除去の方法を執らなかつたことを以つて道路管理に瑕疵ありとはいえないのである。

(ホ) 本件についてみるに、本件事故日の午前九時の宇治田原観測所での積雪は一センチメートルに過ぎず、宇治田原のような山間部でない宇治市内の本件事故現場では雪が薄く積つた程度に過ぎなかつたのであつて、たとえ三の坂道路が日当りの悪い所であつたとしても、この坂を運行する控訴人太田が自動車の速度を減じて凍結による滑りに注意し、滑りを生じたときはエンジン、ブレーキをきかせつつ断続的にブレーキをかけながら進行すれば道路脇に逸走することは回避し防止し得たのであるし、更にそのうえ道路交通法令が定めているとおり車輪にチエンをまいておれば滑りはしない筈である。

(ヘ) 本件事故発生当時宇治土木工営所職員が山間部の積雪地帯である天ヶ瀬地域の積雪に思いを到し、融雪剤を携えて同地域へ赴く途中、本件道路を通過した際凍結を認めて融雪剤を撒布し、事故現場に到る以前に本件事故の発生を見たが、右撒布は道路管理者の補助者として時宜に適した配慮をしたまでのことであつて、いわば行政上の好意からである。道路管理上降雪時に路面の凍結を予想して適時寒冷地域の道路全体につきこれを検分して廻り、適時に凍結部分を発見し、適時に融雪剤を撒布するが如きは現代の科学的技術と地方自治体の財政力と人員配置の実情からして不可能である。

(ト) それ故路面の凍結が高度であり交通上危険なときは道路の閉鎖を行う外ないが、本件事故発生時にはそれまでの必要はなく運行者の自主的管理に期待してよい状況であつた。路面凍結状況の下での運転技術に習熟せず運転に自信のないものは適当に車輌の運転を中止すべきで、この方が不必要に一般道路の閉鎖をするよりも公益を害することがない。

(4)  それ故本件事故現場の道路は控訴人太田が通常の自動車運転者としての注意を以つて運転しておれば、本件事故車の滑走が起らなかつたのであるから、控訴人京都府として直ちに融雪或はその他の措置を執らなかつたことにつき、道路管理上の瑕疵はない。

(二)  控訴人太田

控訴人太田にとつて本件事故の発生は全く不可抗力という外はない。この点について以下に補足する。

本件事故当時雪がちらちら降り路面にうつすらとつもり凍結していたので、控訴人太田は十分注意し、速度も時速二〇粁に落して進行し、本件現場にさしかかつた際スリツプしては危険と思い排気ブレーキをゆつくりと踏んだところ、車はスリツプし車首を被害者の方へ転じた。控訴人太田はブレーキを踏んだままハンドルを右に切つたが避けることができず被害者に衝突してしまつたのである。下り坂の凍結路面で急ブレーキをかけるような無謀なことはしていない。かようにスリツプを避けるため細心の注意を払つたにもかかわらず生じた本件事故は控訴人太田にとつては不可抗力とすべきで、その原因は傾斜する路面が凍結していたからであり、問われるべきは融雪剤を撒布する等して危険状態を解消していなかつた本件道路の管理者控訴人京都府の責任である。

(三)  被控訴人ら

控訴人らの当審における各主張を争う。本件事故は控訴人太田の運転の過失、控訴人京都府の道路管理の瑕疵の競合によつて生じたのである。

本件事故の生じた三の坂(約八〇メートル)は大きくカーブをえがき、しかも勾配がついているところで、山を切り開いて作つたため日陰部分の多い道路で平素から自動車がスリツプしやすい危険な場所とされてきた。それ故従前は網目を入れたコンクリート舗装がなされスリツプの防止に役立つていた。しかるにこれをアスフアルト舗装に改装してしまい、スリツプに対し何の対策も講じられなくなつた。積雪時における融雪剤の撒布などは二の次であつて、まづ滑らない道路構造にすべき場所なのである。この場合採らるべき措置はスリツプしても歩行者に危害を及ぼさない方法としては車道と区分した歩道を設け、歩道を一段と高くするか、ガードレールを設置するか以外にはない。附近住民は声を大にしてこれを要望してきたが控訴人京都府は黙過放置してきたのである。この悪条件に積雪による路面の凍結を加えれば一層危険は増大し、控訴人太田の運転の過失もさることながら、本件事故は起るべくして起つたというべく、その責の多くは道路管理の瑕疵に帰すべきである。次善の策としての融雪剤の撒布も真夜に撒布を求めるわけではなく、歩行者の多い時間帯に、しかも冬期の三、四か月についてこれを求めることが不可能であるとはいえず、また立札を立てて運転手へ滑りの危険の注意を喚起することは容易なことである。これら道路管理の瑕疵は控訴人京都府の人命軽視につながる行政と評されても仕方があるまい。

二  証拠<略>

理由

一  原判決記載請求原因第一項の本件事故発生の事実は当事者間に争いがない。

二  控訴人らの責任

控訴人京都府の責任については、これを否定すべきものと考えるので、後述することとし、次に控訴人太田の責任について考察する。

右争いのない事実に、<証拠略>を総合すれば、次の事実を認めることができる。

(1)  府道宇治淀線は地方の幹線道路で車輌の通行は多く、本件事故現場付近は通称三の坂と呼ばれ、約八〇メートルの間が、東に二度五五分ないし四度一分の下り勾配をなす坂道であり、道路の巾員は七メートル余り、東行、西行各一車線で歩車道の区別がないアスフアルト舗装道路である。

(2)  本件事故当日は午前七時三〇分頃からの降雪で三の坂では薄く雪が積り、車輌の轍に踏みしめられたあとは凍結し滑りやすい状態となつていた。

(3)  控訴人太田は同日午前八時三〇分頃砂利積込みのためダンプカー(空車)を運転し右府道を西より東へ、先行する乗用車に速度を合せて時速約三〇キロメートル位で五〇メートル程の車間を保つて進行してきた。三の坂にさしかかつたので排気ブレーキをきかせながら時速約二五キロメートルに減速したが、先行車がストツプライトを点滅させながら徐行し始めたにもかかわらず同速度で進行したため、先行車が停車したときには車間距離は約二八メートル(甲第二〇号証中に「私が<1>地点に来たときで先行車の停止位置は<イ>で約二八米位しか離れておりません」とある<イ>点は右距離より見て甲第七号証の一の図面の<甲>点に当るから<甲>点の誤りと解される。)に接近していたので、先行車との衝突をさけるためのフツトブレーキを踏んだところ、車体が振れ車首を斜左にして滑走し、前方道路の北端を東を向いて歩行していた被害者森政寛外一名の方に接近していつたので、驚いてブレーキをふんだままハンドルを右に切つて避けようとしたが効果なく右森政寛の身体を車首左前部で電柱との間に圧迫し前記のとおり傷害を与え死亡せしめるに至つたこと。

(4)  控訴人太田は積雪のため三の坂の路面が凍結していることに気付いていたこと。

(5)  控訴人太田は右滑走に驚き警音機を鳴らすゆとりを失い、これを鳴らさず背を向けて前方を歩行する被害者に突然衝突したこと。

<証拠略>中には右(3)、(4)、(5)の認定と異なるところがあるが、前記証拠と対比して措信することができず、他に右認定に反する証拠はない。

そうすれば、控訴人太田は、三の坂が凍結して滑走しやすいことに気付いていたのであるから、ハンドル操作を確実にするとともに、速度を調節し、急制動をかけるのを避ける等滑走することを回避すべき注意義務があるのに、これを怠つた過失があるというべきであり、不可抗力による事故とはいえない。

三  控訴人太田の被害者森政寛にも過失があつた旨の過失相殺の抗弁は理由なく、被控訴人らの損害の主張(固有のもの及び相続に係るものをも含め、且つ損益相殺の主張を合せ)については当裁判所も原審認容の内容、限度を以て相当と判断するから、この点に関する原判決一八頁七行目より一〇行目まで及び二二頁三行目より二五頁三行目までを引用する。(但し二二頁七行目の「被告ら」を「被告太田」に訂正し、二三頁一二行目の「相続人が」の次に「父母たる」を挿入する。)

四  そうすれば、控訴人太田は、被控訴人森政次に対し金一六四万三、〇〇〇円とうち金一四九万三、〇〇〇円に対する本件事故発生以後である昭和四四年二月一〇日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を、被控訴人森登茂子に対し金一四七万三、〇〇〇円とうち金一三四万三、〇〇〇円に対する右同日から同割合による遅延損害金を各支払うべき義務がある。

五  控訴人京都府の責任について

道路に於ける交通の安全は、これを確保しなければならないことは言うまでもないが、この安全を考える場合、道路自体の設置その構造及び管理の面からするものと、これを利用するものの通行方法、態度等通行者側に対するものとの両面からみなければならない。けだし、道路自体がその安全性につき、いかに細心の注意を以つて設計され築造され、更に管理されていても、これを利用する通行者に於て、無謀な、或は通常予期しえない方法で通行するに於ては、その道路に於ける通行の安全が損われることは、説明するまでもないところであろう。

ところで、道路自体の面から、考えると、道路は、あらゆる交通上の危険に対処し、これを防止しうる絶対的安全性を具えていることが望ましいには違いない。しかし道路は所詮社会生活に欠かせない施設の一つに過ぎないのであるから、他の生活必需施設との関係や、これを設置し管理する主体の財政的、人的物的制約等を考慮すれば、これを利用するものの常識的秩序ある利用方法を期待した相対的安全性の具備を以つて足るものと考える。

(一)  三の坂がもとコンクリート舗装であつたのを改装しアスフアルト舗装としていたことが道路の設置、管理の瑕疵に当るものといえないことについては当裁判所の判断も原審のそれと同一であるから、原判決一三頁一二行目より一四頁一二行目まで及び二一頁七行目より一二行目までの記載を引用し、右一三頁一二行目より一四頁一二行目迄の事実は、「原審証人渡利昭二の証言によりこれを認めることができる。」を補充する。

(二)  三の坂に車道と区別した歩道を設け、ガードレールにより或は歩車道に高低をつけていなかつたことについて。

本件事故当時三の坂に右のとおり高低差あるいはガードレールにより区別された歩道が設けられていなかつたことは、当事者間に争いがないところであつて、当時右歩道が設けられていて、被害者森政寛らがその歩道上を通行していたとすれば、控訴人太田の車が前記のとおり凍結した路上を運転の自由を失い滑走しても、あるいは追突するという本件事故は避けられたかも知れない。しかしながら前記のような道路の安全性にかんがみれば歩道を設けていないことが道路の設置又は管理の瑕疵に当るというためには、そのことによつてその道路の状況からみて車輌の運行者や歩行者が通常の注意を払つても車輌の運行者と歩行者との衝突等の危険を避けることができずその道路として期待される通常の安全性を欠いていると見られる程度に至つていることを要すると解されるところ、本件道路は前認定のとおり東行、西行各一車線の幅員七メートル余の道路で、かなり交通量の多い坂道であり、冬季には時に路面が積雪により凍結することもあることを考慮に容れても、通行者が通常の注意を払えば事故を避けることができるものと言え、その他過去の事故例等で本件各証拠上いまだ右歩道を設けていないことがこの道路の通常の安全性を欠いていると認むるほどのものはない。従つて歩道の設置のないことを道路の設置又は管理の瑕疵とすることはできない。

(三)  路面が凍結状態であつたこと。

積害が路面に凍結し滑りやすい状態となつていることは、道路そのものの欠陥とはいえないが、路上の交通にとつて極めて危険であるから、通行者は勿論、道路を常時良好な状態に保ち交通に支障を及ぼさないよう努力すべき行政上の責務を負う道路管理者(道路法第四二条)にとつても無関心では済ませないところではある。

しかしながら、雨、風、雪等自然現象は人間を包摂して人間の生存様式を規定している基本的環境であつて、本質的には道路上の通行の安全を害すると定まつたものではない。しかし害する作用をする場合のあることも確かであるが、どのような程度において交通の安全を害する危険性を持つに至つたというべきかの判断、またそのような危険性を帯びた自然現象がいつ発生するかの日時の予知は困難であるのみならず、これらの自然現象による危険状態は、例えば路上に崩土を生ずる場合の如く特定の場所に、それを排除するまで存続するというのではなく、通常広範囲な地域に一時に作用し、しかもある時間を過ぎれば消退するという一過性のものであることが多い。そしてそれに対処する方法として降雪の場合をとれば、道路自体に融雪機能を具えることは現代の科学技術の水準、財政事情よりみて一般に困難なことであり、可能なことは人為的に除雪するか、融雪剤を撒布する等の方法によることが考えられるに過ぎない。従つて自然現象として右のとおり危険性及びその時期を察知し難く、その作用が一過的に広域に及び、しかも時たましか起らない降雪現象に対し、これが一般に積雪地帯と言われる地域の道路とか、最低速度制限のある高速道路とかの特殊の目的を持つ道路の場合のほか、一般普通の道路について、右程度の可能な方法によつて除雪又は融雪する人的物的設備を常時ととのえて道路通行上の危険を即時排除し安全性を保持しなければならないとする道路管理上の義務を地方自治体である道路管理者に負わすことは、前示道路の安全性の性質にかんがみ適当でなく、むしろ、このような場合の道路通行の安全性は、これを利用する通行者側の利用態度にこれを負わすべきである。

本件に見られる降雪は、前記のとおり事故当日の午前七時三〇分頃から降り、三の坂では薄く積もる程度であり、<証拠略>によれば、原判決一六頁九行目より一七頁二行目までに記載の事実が認められ(この部分を引用する)、控訴人京都府の宇治土木工営所の職員が右降雪に対し早速融雪剤の撒布にかかり、事故発生時刻には事故現場近くまで至つていたが及ばなかつたのである。

そして、<証拠略>によると、本件事故の発生した宇治市田原地方は、昭和四三年一、二月頃は前年に比し、降雪の日が多く、それもせいぜい数センチ位の積雪で、時に路面の一部が凍結する(前認定の通り本件事故当時三の坂は凍結していた)ことがあつたが、それでも降雪が止むと、間もなく積雪凍結が消失し、積雪や凍結のため本件府道の交通が危険となつて、通行止の処置が執られたことがなかつたことが認められるから、当地方は特に積雪地帯ではなく、右府道が地方の幹線道路であるとは言え、右程度の積雪凍結状態である限り、これを管理する控訴人京都府に、常時即時融雪剤撒布その他路面の凍結解消の措置を執り得る人的物的態勢をととのえて降雪に際して即時その措置を執ることを求めることは、住民に対するより良き奉仕要求としては許されるにしても道路管理義務の遂行としては、その範囲を超えるものと言うべきである。

かような際の危険の回避は、それに対面する個々人の注意に待つほかはない。積雪する路上を通行する運行者は路面の凍結状況に注意し、滑りによつて運行の自由を失うことのないよう、万一滑りを生じても事故の発生を防止しうるよう、その地形に応じて速度を緩め運転操作に細心の注意を払い、危険の回避があやぶまれるときは車輌にチエンをとりつけるべきである。(成立に争いのない丙第三号証、京都府道路交通規制には「積雪または凍結している道路において自動車を運転するときはタイヤ・チエンをとりつける等すべり止めの措置を講ずること」との定めがあることが認められる。)危険の回避があやぶまれるにかかわらず、チエンをとりつけず事故を起した不注意な運行者がその不注意を問われず、道路が危険であつたとして道路の管理の瑕疵に事故責任を結びつけようとすることは当らない。

もつとも、<証拠略>によれば、昭和四三年一、二月頃に宇治地方で他に降雪による自動車の滑走事故が起つたことが窺えるが、このことがあつたからと言つて、前示認定をくつがえすことはできない。そして本件事故の場合、控訴人太田は路面の凍結していることを認識していたのであつて、認識していなかつたが故に本件事故を生じたのではないから、立札等により凍結に対する注意を喚起する方法が講じられていなかつたとしても、このことは本件事故と因果関係のないことである。

以上の次第で、本件の降雪による路上の凍結現象は道路の管理の瑕疵と見ることはできない。(残雪が日を経ても特定の道路上に残り、或は凍結して路上交通の危険を来している如き場合が管理の瑕疵に当るかは別個の問題で、それぞれの具体的事情により考慮すべきことである。)

従つて控訴人京都府の融雪剤の撒布が間に合つたか否かを問うまでもなく、本件事故の責任を同控訴人に帰することはできず、被控訴人らの控訴人京都府に対する請求は失当である。

六  以上によれば、控訴人太田の本件控訴は理由がないからこれを棄却すべく、控訴人京都府の本件控訴は理由がありこの部分につき原判決は不当であるから取消し、被控訴人らの控訴人京都府に対する請求を棄却し、民訴法第九六条、第八九条第九二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 喜多勝 林義雄 楠賢二)

【参考】第一審判決(京都地裁 昭和四五年(ワ)第四一七号 昭和四八年六月二六日判決)

主文

被告らは、各自、原告森正次に対し、金一六四万三、〇〇〇円と、うち金一四九万三、〇〇〇円に対する昭和四四年二月一〇日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

被告らは、各自、原告森登茂子に対し、金一四七万三、〇〇〇円と、うち金一三四万三、〇〇〇円に対する同日から同割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用は二分し、その一を原告らの、その余を被告らの各負担とする。

この判決は、原告ら勝訴の部分にかぎり仮に執行することができ、被告らは、各金一〇〇万円あての担保を供して仮執行を免れることができる。

事実

第一請求の趣旨<略>

第二請求の趣旨に対する答弁<略>

第三請求の原因事実

一 事故の発生

訴外森政寛は、次の交通事故によつて死亡した。

(一) 発生時 昭和四三年二月九日午前八時四〇分頃

(二) 発生地 宇治市神明宮東八番地の二附近の府道宇治淀線路上

(三) 事故車 大型貨物自動車(京1り三九七号)

運転者 被告太田道治

(四) 被害者 訴外人(歩行中)

(五) 態 様

同訴外人は、本件事故現場の路上を、西から東に歩行中、背後からきた事故車に追突されて転倒。

(六) 訴外人は、同日午後三時、骨盤骨折、内臓破裂により、訴外宇治病院で死亡した。

二 責任原因

被告らは、それぞれ次の理由により、本件事故によつて生じた損害を賠償する責任がある。

(一) 被告太田道治は、事故発生について、次のような過失があつたから、不法行為者として民法七〇九条の責任。

路面が凍結し滑走し易くなつていたのに急制動をかけた。

(二) 被告京都府は、本件道路の設置管理者であるが、次のような設置管理上の瑕疵があつたから、国家賠償法二条一項の責任。

本件道路は、東に下り坂であるから、スリツプによる事故防止のため、歩道を設けるか、ガードレールを設置する必要があつた。従来はコンクリート舗装をし、網目のすじが入つていたが、昭和四二年七月、電話線の工事をするためこれを掘り起した後、ゴム入り密粒度アスフアルト舗装をした。そのため滑り易くなつた。

そのうえ、本件事故のとき、凍結が重なり、より滑り易い状態になつていた。しかし、同被告は融雪剤を撒布しなかつた。このように本件道路は、凍結による滑走防止が不十分であつた点に、道路の安全性が欠如しており、これらは、本件道路の設置管理上の瑕疵である。

三 損害<略>

四 結論<略>

第四被告らの事実主張

一 被告太田道治

(一) 本件請求の原因事実中、第一項は認めるが、第二項の同被告の過失を否認する。第三項の損害額を争う、ただし、原告らが同訴外人の相続人であることと損害の填補額を認める。

(二) 同被告には、運転上の過失はなく、本件事故は、回避不可能であつた。

(三) 仮に同被告に過失が認められるとしても、同訴外人は、友人と並んで、道路側端から一メートルセンターライン寄りのところを歩行していた過失があるから、損害額算定に際し、この過失を斟酌しなければならない。

二 被告京都府

(一) 本件請求の原因事実中、第一項は認めるが、第二項の同被告に本件道路の設置管理上の瑕疵のあつたことを否認する。第三項の損害額を争う、ただし、原告らが同訴外人の相続人であることと損害の填補額を認める。

(二) 被告京都府が本件道路の設置管理者であること、本件道路が東に下り坂であること、従来はコンクリート舗装で網目のすじが入つていたが、原告ら主張のころアスフアルト舗装になつたこと、本件事故のとき、融雪剤を撒布していなかつたこと、歩道とガードレールのなかつたことは認める。

被告京都府がしたゴム入密粒度アスフアルト舗装の摩擦係数は、コンクリート舗装の摩擦係数と殆んど同じであり、湿潤時には、アスフアルト舗装の方の摩擦係数が多少大きい。そうして、コンクリート舗装のすじは、却つて水分やごみが溜り、表面に水膜ができて摩擦を低下させ、すべり止めの効用がない。

道路表面が凍結しているのを、融雪剤の撒布その他の方法で常時解消し不凍結の状態で維持することは望ましいが、技術的にも経済的にも人的管理上も不可能であるから、そのような処置は、道路管理の内容にならない。

被告京都府が、融雪剤を撒布しなかつたことは、被告太田道治の本件事故車の無謀運転を誘発したわけではない。従つて、融雪剤の不撒布と本件事故とには因果関係がない。

第五証拠関係<略>

理由

一 本件請求の原因事実中第一項の事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、本件事故の情況について判断する。

みぎ争いのない事実や、<証拠略>を総合すると次のことが認められ、この認定に反する証拠はない。

(1) 本件事故現場附近の府道は、いわゆる「三の坂」といわれ、約八〇メートルの間が、東に二度五五分ないし四度一分の下り勾配になつている。

宇治市より約二〇ないし三〇メートルの高さの丘陵を切り開いて本件道路中「三の坂」部分を東西に通したため、本件道路の両側は高さ約一〇メートルの木の生立した斜面で、日当りは悪い。

本件事故現場附近の道路幅員は七・一メートルで、東行西行各一車線である。歩道はない。

本件道路である府道宇治淀線は、地方の幹線道路で、車両の通行は多い。

(2) 「三の坂」は、もとコンクリート舗装をし、網の目のすじを入れて滑止めをしていたが、昭和四二年七月、電話線工事をするためこれを掘り起した後、ゴム入り密粒度アスフアルト舗装になつた(このことは、原告らと被告京都府との間で争いがない)。このようなゴム入り密粒度アスフアルト舗装にしたのは、コンクリート舗装をすると、それが固まるまで約一か月の養生期間が必要であり、直ちに交通開放ができないことと経済的に安価であることによる。しかし、両舗装の摩擦係数に大差はない。そのうえ、ゴム入り密粒度アスフアルト舗装は、重交通に耐える強度と耐久性がある。従来は、コンクリート舗装に深さ約一〇ミリメートル位の網の目のすじを入れることが、滑止めになると考えられていたが、現在では、このすじに砂、ごみ、水が入つてつまつたり、あるいはたまつた雨水が潤滑油の役目を果し、却つて滑りやすくなり、逆効果を招く場合もあると考えられるようになつた。

(3) 被告京都府は、宇治土木工営所に本件道路である宇治淀線の管理をさせていたが、同被告は、同工営所の管轄区域を降積雪のない地域と考え、格別制度的に降積雪に対する予算措置を講じたり、融雪のための組織や対策を定めた規準規定をおいて実行に移すことはしていなかつた。ただ、宇治土木工営所では、夏場の防塵剤であるダストクリーン(塩化カルシユーム)を備蓄して、それを冬場の融雪剤として利用していた。

(4) 昭和四三年一月から二月にかけて、例年になく宇治方面に降積雪があつた。

同年一月一四日夜から一五日の朝にかけて同年になつてはじめて雪が降り、宇治市内で一ないし二センチメートルの積雪をみたが、「三の坂」では、この雪が凍結し、同月一五日午前八時二〇分ごろ、「三の坂」を下つていた軽トラツクがブレーキをかけたためスリツプし、ハンドルをとられて電柱に衝突し、運転者が受傷する事故があつた。

このため、警察は、同日午前九時から同日正午まで、車両の通行止めをし、宇治土木工営所は、融雪剤を撒布した。

本件事故後である同年二月一二日午前八時三〇分ごろにも、「三の坂」で、前夜降つた雪が凍結していたため、スリツプ事故があり、運転者の一人が負傷した。

(5) 本件事故のあつた同月九日午前七時三〇分ころから、激しく雪が降り、「三の坂」では、この雪が薄く積り、車両の通行した轍のところの雪は、踏みつけられて凍結し、滑りやすい状態であつた。

(6) 宇治土木工営所技術第二課長小林喜義は、この降雪により宇治瀬田線の天ヶ瀬ダム附近の道路の凍結を予想し、同日午前八時ごろ、融雪剤を車に積んで部下二名と同工営所を出発し、「三の坂」にさしかかつたとき、道路の凍結を発見し、融雪剤を撒布しはじめた。その方法は、融雪剤の紙袋をスコツプでたたき割り、それを手で持つて振りまわす仕方であつた。小林喜義らが、このようにして、本件事故現場の手前約二〇〇メートルの辺まで撒布してきたとき、本件事故が発生してしまつた。

(7) 被告太田道治は、同日午前八時三〇分ごろ、事故車(空車)を運転して時速二五キロメートルで「三の坂」を東進中、先行車が停車準備のため制動しているのを認めながら減速徐行をせず、約二八メートル程先で先行車が停車したのを認め、あわてて停車しようとして、急制動の措置をとつたため、事故車の後部が南西にふれ、斜になつたまま道路を滑走し、丁度「三の坂」の本件事故現場附近の道路北端(左端)を歩行中の訴外亡森政寛に事故車の左前部を衝突させた。

被告太田道治は、積雪のため「三の坂」の路面が凍結していることに気付いてはいた。

なお、森政寛は、登校中で、その右側(センターライン寄り)には、訴外平野幸治が並んで歩いていた。

三 責任原因

(一) 被告太田道治は、「三の坂」が凍結して滑走しやすいことに気付いていたのであるから、ハンドル操作を確実にするとともに、速度を調節し、急制動をかけるのを避けるべき注意義務があつたのに、この注意義務を怠つた過失がある。

(二) 被害者である森政寛には過失がない。そのわけは、森政寛は、道路左端を東に向つて歩行していたものであつて、東行車道の車両通行の妨害になるような歩行をしたものではないからである。

(三) 被告京都府には、道路管理上の瑕疵があつた。そうして、この瑕疵が、本件事故の一原因になつた。すなわち、

昭和四三年一月から二月にかけて例年にない降積雪があつたのに、本件道路の管理者である被告京都府は、降積雪による路面の凍結にもとづく危険を除去するため、有効かつ適切な措置を何一つ講じなかつた。

「三の坂」は、昭和四三年一月一五日、路面の積雪による凍結のため交通事故が生じたのであるから、被告京都府には「三の坂」は降積雪の場合、路面凍結の危険のあることは十分予知できた。しかも、この府道宇治淀線は、地方の幹線道路で、車両の通行が多く、「三の坂」は東に相当な下り勾配で、道路両側は高さ約一〇メートルの斜面で、日当りが悪いといつた地理的条件であることを考えたとき、被告京都府としては、「三の坂」の道路凍結に対処して、降雪の際の道路パトロールを強化し、凍結を発見したときは、直ちに融雪剤を撒布したり、それが間に合わないときは、通行する車両の運転者に、路面が凍結していて滑走の危険がある旨の標識をたてて知らせ、場合によつては、道路の通行止めの措置をとるなどして、道路の安全性を維持する必要があつた。しかし、被告京都府は、この地方が積雪地域でないことから、みぎに述べたような内容の降積雪に対する安全対策をたて、降積雪の際、道路凍結に備えてその対策を速かに実施する方策と態勢をとつていなかつた。このことは、夏場の防塵剤を備蓄して冬場の融雪剤に間に合わせていたこと、薬剤撒布車の配備のなかつたことによつても明らかである。

このように、「三の坂」は、本件事故当時、降積雪のため凍結し、道路が通常具有すべき道路としての安全性を欠如していたもので、これが、道路管理者である被告京都府の管理上の手落であるから、同被告には、本件道路管理上の瑕疵があつたとするほかはなく、被告京都府は、国家賠償法二条一項による賠償責任を免れない。

なお、宇治土木工営所が、本件事故の日、本件事故現場の約二〇〇メートル手前まで融雪剤を撒布したのは、天ヶ瀬ダム附近の道路の凍結予防のために出動した途中たまたま「三の坂」の凍結を発見したからであつて、はじめから、「三の坂」の凍結を知り、これの融雪のため出動したものではなかつた。従つて、約二〇〇メートルの手前まで融雪剤を撒布したことは、「三の坂」の道路管理に手落のなかつたことの証左にならない。

原告らは、被告京都府には、コンクリート舗装をアスフアルト舗装にしたことに設計上の手落があつたと主張しているが、両者とも摩擦係数に大差がないから、特にアスフアルト舗装が不適当であるとはいえないし、路面に網状のすじを入れなかつたことも、すじを入れると却つて、逆効果のあることを考えたとき、これ亦設計上の手落があつたとするわけにはいかない。

被告京都府は、道路管理の瑕疵と、本件事故との間には因果関係がなかつたと主張しているが、さきに認定したとおり、「三の坂」の路面凍結がなかつたなら、本件事故は発生しなかつたのであるから、同被告の主張は採用できない。

四 原告らの損害額について判断を進める。

(一) 葬儀費 金一五万円

弁論の全趣旨によると、森政寛の死亡に伴ない、原告森正次がその葬儀費を支出したことが認められる。そうすると、その葬儀費用中、本件事故の損害として被告らに負担が求められる額は、金一五万円が相当である。

(二) 被害者に生じた損害

(1) 逸失利益   金二六八万六、〇〇〇円(千円以下切捨)

死亡時    一四歳(成立に争いのない甲第一〇号証による)

稼働可能年数 一八歳から六三歳まで

収益(年)  三六万七、四〇〇円(昭和四三年賃金センサス男子労働者学歴計一八~一九歳)

27,800円×12月+33,800円=367,400円

生活費控除  五割

年五分の中間利息控除

ライプニツツ係数一四・六二二八

367,400円×0.5×14.6228=2,686,208円

(2) 慰藉料 金一〇〇万円

本件に顕われた諸般の事情に鑑み、森政寛の、本件事故による精神的苦痛に対する慰藉料は、金一〇〇万円が相当である。

(3) 相続

森政寛の相続人が原告らであることは当事者間に争いがないから、原告らは、森政寛の本件事故による損害を二分の一あて、各金一八四万三、〇〇〇円を承継取得したことになる。

(三) 原告らの固有の慰藉料

各金一〇〇万円

本件に顕われた諸般の事情を斟酌し、原告らの本件事故による精神的苦痛に対する慰藉料は、各金一〇〇万円あてが相当である。

(四) 損益相殺

原告森正次の損害は、金二九九万三、〇〇〇円、原告森登茂子の損害は、金二八四万三、〇〇〇円であるところ、原告らは、自賠責保険から各金一五〇万円を受けとつたことは当事者間に争いがないから、みぎ損害からこれを控除する。そうすると、原告森正次の損害は、金一四九万三、〇〇〇円、原告森登茂子の損害は、金一三四万三、〇〇〇円になる。

(五) 弁護士費用

原告らが本件訴訟代理人に訴訟委任をしたことは、当裁判所に顕著な事実であるから、その弁護士費用中本件事故による損害として被告らに負担が求められる金額は、原告森正次が金一五万円、原告森登茂子が金一三万円とするのが相当である。

五 むすび

被告らは、各自原告森正次に対し、金一六四万三、〇〇〇円とうち金一四九万三、〇〇〇円に対する本件事故発生の日以後である昭和四四年二月一〇日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払わなければならないし、原告森登茂子に対し、金一四七万三、〇〇〇円とうち金一三四万三、〇〇〇円に対する同日から同割合による遅延損害金を支払わなければならないから、原告らの本件請求をこの範囲で正当として認容し、民訴法八九条、九二条、一九六条に従い主文のとおり判決する。

(裁判官 古嵜慶長)

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